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『薔薇密室』皆川博子著作

皆川博子さん作の『薔薇密室』を読みました。皆川博子さんらしい作品で、相変わらず博識ぶりを伺えます。文章の美麗さも際立っています。

『総統の子ら』とちょっと話がリンクしていて、どうやったらこんなに話の広がりを作り出すことが出来るんだろうと感心します。推理小説というジャンルではないと思いますが、終盤に霧が晴れるように話がクリアになります。お話しは決してハッピーエンドと言えませんが、他の作品に比べてすっきりした幕引きです。幻想と現実が入り混じるため、たまに取り残されたような気になります。けれども、耽美な雰囲気がたまらない…。

耽美小説とも言えそうですが、戦争の現実も克明に書かれています。というより戦争の描写は皆川さんの真骨頂だと思います。そして、サイコパスとも言えるような人間を書くのもお上手です。真摯に、そして静かに残酷なことをする人間の描写は読んでいるとひたひたと怖さを感じます。

さて、次は『双頭のバビロン』を読もうと思います。今度もまた長い、分厚い!2段組500ページくらいですが、最近は長編に慣れすぎて、他の本が短く感じるようになりました。

Published inルルの日記